• のキッズマネースクール認定講師の日記です。日々子ども達と向き合っている講師の日常をご覧ください。

  • 一般社団法人 日本こどもの生き抜く力育成協会
    • 日曜日にお子さんとお金について楽しく学んでみませんか?
    • 企業・法人の方
    • 学校・公的機関の方
    • 講師になりたい方
    • お問合せご依頼
    • 資料請求はこちら
一日が心に強く残る、夢がある日を創造します

全国講師からのコラムの詳細です。

お金先生によるコラム‐キッズマネーカフェ‐

10歳までに学ぶ お金の”稼ぎ方”

2022年07月20日

|カテゴリ:お金先生によるコラム‐キッズマネーカフェ‐

お金を稼ぐ人と、稼げない人。
両者の違いは、いったい何から生まれるのでしょう?
 
最大のカギは「質問」にあると、私は考えています。
そう考えるに至ったヒントは、あるお客さま宅の日常のひとコマにありました。
 
========================
 
「ママ~、これ欲しい!買って!」
『先週お小遣いあげたばかりでしょう?』
「そうだけど~、でも全然足りないんだもん!」
『だめ、そのお金のなかでやりくりしなさい。』
「え~。はあい。。。」(しょんぼり)
 
========================


 
このやりとりには”限られたお金を有効に使える大人になってほしい”という、ママの願いが現れているように感じます。
ですが、このやりとりから子どもが学び取るものは、果たしてそれだけでしょうか・・?
 
 
一方、また別のご家庭でも、子どもがママにおねだりしていました。
しかし、こちらのご家庭は「お金の教育」に一工夫いれていたために、
同じおねだりから生まれた結果が、全く違うものになったのです。
 
========================
  
「ママ~、これ欲しい!買って!」
「先週お小遣いもらったばかりでしょう?」
「そうだけど~、でも全然足りないんだもん!」
「それ、いくらするの?」
「600円だって」
「〇〇はいま、いくら持ってるの?」
「えーとね、250円。」
「確かに、それじゃあ買えないねー。」
「うん・・・。」(しょんぼり)
「じゃあ、どうしたら買えると思う?」
 
諦めかけていた子どもが、はっとお母さんを見上げました。
 
「・・・パパの車洗ってあげる!」
「そうね。それでパパを喜ばせたら300円もらえるよね!そうしたら買えそう?」
「ううん、まだたりない。」
「じゃあ、どうすればいいかな?
 あ、そういえば、パパこの間泥だらけの靴で車に乗っちゃって、マットが汚れて大変だって言ってたなあ~。」
「え!じゃあ僕それも綺麗にする!(パパー!!)」
 
========================


 
このご家庭の素晴らしい点は、3つあります。
1つ目は、「稼げる環境」を作ってあげていたこと。
2つ目は、「質問」を投げかけ、必要額を得る手段を自分で考えさせたこと。
そして3つ目は、「お金は“ありがとう”と交換するもの」という前提で、誰かの課題発見のヒントを与えたことです。
 
この家庭では、ママが小学2年生の子どもに毎月200円の「定額」のお小遣いをあげていましたが、それに加えパパが特別なお手伝いに対して「報酬」を設定していました。
洗車は1回300円でしたが、実は「マット掃除」はメニューにはありません。
ですが、結局子どもは、パパに車が汚れていることを伝え、自分がその課題を解決できることを示し、それに対する報酬額を自ら設定し、パパに「マット清掃オプション」を50円で販売したのでした。
後に伺った話では、この優秀な子ども店長はめでたく欲しかった600円の「トミカ」を手に入れたといいます。
(まさに“営業力”・・・!)

定額のお小遣い制度から、子どもは「やりくり」を学ぶ反面、「諦め」や「固定給」という概念も同時に学びとっています。
将来目標額を用意しなければならないときにまず思い浮かぶのは、これまでと同じように、次の給料日を「待つ」という方法です。
 
一方、「仕事で稼ぐ」感覚を身につけた子どもはいったいどんな大人になるでしょう?
ただ待つのではなく、「どうすれば稼げるか(役に立ち、報酬を受け取れるか)」一生懸命考え抜き、より早く、より多くの自由を手にする大人になるにちがいありません。
 
 
もちろん、この問いですべての子どもたちが同じ反応を示してくれるとは限りません。
「はあ~!出た出たそれ!じゃあいいもん!」と、そっぽを向かれてしまうリスクだってあります(笑)
 
ですが、「こうしなさい」という一方向の指示を受けて育った子どもと、
「どうしたらできるかな?」という双方向のコミュニケーションをとって育った子ども。
将来より稼ぐ可能性が高いのは、
将来より資産を築く可能性が高いのは、いったいどちらの教育を受けた子どもなのでしょうか?
 


スキャモンの児童発育曲線によると、人間の脳は、10歳を迎えるまでに約96%が決まると言われています。
お金を「稼ぐ力」の向上は、難しい知識を詰め込むだけでは見込めません。
大切なのは、どうすればお金はもらえるのか「自分で考えて行動する」機会をたくさんつくってあげること。
つまり良質な問いを投げかけてあげることではないでしょうか。
 
そんな学びの“きっかけ”を作ってあげることが私たち大人の仕事であり、
キッズマネースクールの使命でもあると、私は思います。

(原典)Scammon, R, E. (1930) : The measurement of the body in childhood, In Harris, J, A., Jackson., C, M., Paterson, D, G. and Scammon, R, E. (Eds). The Measurement of Man, Univ. of Minnesota Press, Minneapolis.

 

 

キッズマネースクール認定講師 大成 裕道(おおなり ひろみち)

トータルライフコンサルタント(生保協会認定FP)
ファイナンシャル・プランナー(FP)
住宅ローンアドバイザー

外資系大手生命保険会社にて年間100世帯を超える保険面談のほか、
住宅購入時の社外ライフプラン面談や、FPセミナー講師としても
全国で活躍中!